入学準備の持ち物リストに「防災頭巾カバー(背もたれ式)」と書かれていて、どんなものを選べばいいのか迷う方は多いと思います。この記事では、背もたれに掛けるタイプの仕組みと向き不向き、学校の椅子に合うサイズの測り方、ゴム・ふた・生地の見分け方、価格帯の目安、そして使い始めてから起きがちなずり落ち・ゴム伸びへの対処までをまとめました。指定がある場合は学校のプリントが最優先ですが、指定がゆるい学校で「どれを買えばいいか」を決めるための判断材料として読んでいただければと思います。

背もたれ式とは:椅子に掛けて座布団にもなる定番タイプ
背もたれ式の防災頭巾カバーは、たたんだ防災頭巾を入れる袋状のカバーの上下(または片側)にゴムが付いていて、そのゴムを椅子の背もたれに引っかけて使うタイプです。ふだんは背もたれに掛けたまま背当てクッションのように使い、避難時はゴムを外してカバーごと持ち出す、あるいは頭巾だけを取り出してかぶります。ランドセルや棚にしまい込まず、座っている本人のすぐ後ろに常にあるというのが、このタイプのいちばんの持ち味です。
もうひとつの定番が、座面に敷いて座布団として使う座布団式です。どちらも中身は同じ防災頭巾で、違うのは「置き場所」だけと考えて差し支えありません。学校によって指定が分かれるので、まずは持ち物の案内を確認してください。両方式の違いを詳しく比べたい方は、防災頭巾カバーの基本と選び方もあわせてどうぞ。
背もたれ式のメリット・デメリット
背もたれ式が選ばれる理由は、避難の動作が短くて済むことです。座ったまま手を後ろに回せば頭巾に届くので、机の下に入った姿勢からでも取り出しやすい。座布団式のようにいったん立ち上がってお尻の下から引き抜く必要がありません。掃除の時間に椅子を机に上げるとき、座面に何も載っていないので落ちない、という地味な利点もあります。
弱点もはっきりしています。ゴムで引っかけているだけなので、椅子の形が合わないとずり落ちること。そして、背中が当たる位置にあるぶん、体重と摩擦でゴムが伸びやすいことです。座布団式は座面に敷いて上から体重がかかるため位置が動きにくく、その点では背もたれ式のほうが手がかかります。
もっとも、ずり落ちもゴム伸びも対処のしようがある問題です。後半の「使い方のコツ」で具体的に触れます。

学校の椅子に合うサイズの測り方
背もたれ式でいちばん失敗しやすいのがサイズ選びです。合わせるべき相手は防災頭巾ではなく、椅子の背もたれだと考えてください。カバーに頭巾が入るかどうかは市販品ならたいてい問題なく、実際に困るのは「ゴムが背もたれに掛からない」「大きすぎてぶかぶか」のほうだからです。
測るのは次の3か所です。背もたれの幅(左右の外側から外側まで)、背もたれ板の高さ(上端から下端まで)、そして背もたれ板の厚み。学校の椅子が測れない場合は、JIS S 1021(学校用家具―教室用机・椅子)で号数ごとの寸法が決まっているので、そこから見当をつけられます。座面の最小幅は5号で34cm、6号で36cmと規定されていて、背もたれの幅もおおむね同じくらいの範囲に収まります。
| 目安 | 寸法 |
|---|---|
| 学校椅子の背もたれ幅 | おおむね32〜38cm |
| 市販カバーの本体幅 | 36〜46cm程度の商品が中心 |
| 小学生用防災頭巾(たたむ前) | 縦40〜46cm×横26〜32cm程度 |
カバーの幅が背もたれ幅よりわずかに大きいくらいが、掛けやすさとおさまりのバランスが取れます。背もたれ幅ぴったりだと着け外しがきつく、低学年の子には扱いにくくなります。逆に10cm以上大きいと左右に泳いで見た目も落ち着きません。
カバーの寸法表記が「本体サイズ」か「ゴムを含む全長」かを確認してから比べる
選び方:ゴムの強さ・ふたの有無・生地
サイズの次に見るのは、ゴム・ふた・生地の3点です。
ゴムは、幅が広め(1.5cm前後)で平たいものが安定します。細い丸ゴムは食い込んで伸びが早く、背もたれの角から滑りやすい。上下2本掛けの構造なら、1本が緩んでも落ちにくくなります。長さの調節ができるアジャスター付き、あるいは縫い付けではなく通してあるタイプだと、後述の付け替えが楽です。
ふた(フラップ)は、あったほうが頭巾が飛び出さず、ほこりも入りにくくなります。ただし面ファスナー(マジックテープ)のふたは、開閉の音が大きいことと、洗濯で他の衣類に貼り付くことが難点です。ボタンやスナップは静かですが、低学年には少し手間がかかります。急いで開けられるかどうかを基準に選んでください。
生地は、綿100%のキルティングが定番です。適度な厚みでクッション性があり、家庭で洗いやすく、名前を書くスペースも取りやすい。撥水加工のナイロン系は汚れに強い一方、背中が当たると滑りやすく蒸れます。難燃性をうたう素材もありますが、そもそも防災頭巾本体の性能が主役なので、カバー側は洗いやすさと扱いやすさで選ぶほうが実用的です。
名前の記入位置は、外から見える場所を嫌う学校もあります。裏面やふたの内側にネームタグが付いた製品を選ぶと、どちらの指定にも対応できます。
市販品の探し方と価格帯の目安
背もたれ式は、通販(大手モール・通販カタログ系)と、手芸店や量販店の入学準備コーナーで見つかります。「防災頭巾カバー 背もたれ」で検索すると、背もたれ・座布団の両方に使える2WAY仕様の商品もかなり出てきます。学校の指定がまだ分からない段階なら、2WAYを選んでおくと買い直しを避けられます。
価格帯は、2026年8月時点でおおむね1,000円台から3,000円台が中心です。1,000円前後の無地・シンプルな綿キルティング、2,000円前後で柄や日本製、3,000円前後で防災頭巾とのセット品、というのが大まかな並びです。頭巾本体を学校で一括購入する学校も多いので、セット品を買う前に重複しないか確認してください。なお価格や在庫は時期によって変動します。
学校の指定が未確定なら、背もたれ・座布団の両方に使える2WAY仕様が無難です
実店舗では、入学シーズン(1〜3月)に品ぞろえが集中します。年度途中に買い替えたい場合は通販のほうが選択肢が多くなります。
使い方のコツ:ずり落ちとゴム伸びの対策
買ったあとに実際に困るのは、ほぼこの2つです。
ずり落ちは、ゴムが背もたれの上端をまたぐ「掛け方」で改善します。上のゴムは背もたれ板の上端より少し下、下のゴムは背もたれ板の下端に掛けて、上下でテンションをかけるのが基本。片側だけに掛けていると、背中を預けるたびに片寄っていきます。それでも落ちる場合は、下のゴムだけ結び目を作って2〜3cm短くすると、たいてい止まります。
ゴム伸びは消耗と割り切ってください。毎日背中で押される部分なので、1年ほどで緩んでくるのが普通です。緩んだ状態のまま使い続けると、いざというときに頭巾ごと床に落ちていた、ということになりかねません。学年が変わるタイミングで一度点検し、ゴムだけ替えるのが手っ取り早い直し方です。
洗濯は、キルティング生地なら洗濯ネットに入れて家庭で洗えます。ゴム部分は熱に弱いので、乾燥機は避けて陰干しにしてください。年に2回ほど、防災の日(9月1日)と年度末あたりで洗って点検する、というリズムにしておくと忘れません。
カバーばかり気にして、中の防災頭巾が何年も出されていないことがあります。洗うときに頭巾も取り出し、綿がへたっていないか、あごひもが切れていないかを一緒に見てください。
手作りするなら
市販品でサイズが合わない、学校の指定寸法が細かい、という場合は作ってしまったほうが早いことがあります。背もたれ式は構造が単純で、キルティング生地を1枚裁って袋状に縫い、上下に平ゴムを付けるだけです。材料費は生地とゴムで1,000円前後、縫う時間は1〜2時間ほど。直線縫いが中心なので、ミシンが使えれば難しいところはありません。
作り方の手順と型紙の考え方は、防災頭巾カバーの作り方で詳しく紹介しています。ゴムを縫い込まず、ゴム通し口を作っておくと後で交換できるので、そこだけは最初の設計で決めておいてください。
とはいえ、全部を手作りでそろえる必要はありません。市販品で寸法が合うならそれで十分ですし、名前の位置だけ後から縫い足す、という程度の手直しでも用は足ります。
よくある質問
最後に、背もたれ式についてよく聞かれることをまとめました。
背もたれ式は、毎日使うものなので必ず消耗します。完璧な1枚を探し込むより、サイズが合っていて、洗えて、ゴムが替えられるという3点が満たせていれば、家庭の備えとしては十分です。あとは年に一度、中身ごと点検する習慣のほうが効いてきます。学校ごとの指定寸法や素材の条件については、配布されるプリントや学校の案内で最終確認をお願いします。
