入学準備のリストに「防災頭巾カバー」の文字を見つけて、手が止まった方も多いと思います。市販品もありますが、椅子の形や指定サイズに合わないことがあり、結局は手作りが早い場合もあります。この記事では、防災頭巾カバーを型紙なしで作る手順を、背もたれ式と座布団式の2タイプに分けてまとめました。布のサイズの出し方、ふた付きへのアレンジ、ミシンがないときの作り方、ゴムがゆるんだときの直し方まで、直線縫いだけでできる範囲で解説します。
作る前に:学校指定のサイズとタイプを確認する
いちばん最初にやることは、布を買いに行くことではありません。学校や園から配られた入学準備のプリントを、もう一度読み直すことです。防災頭巾カバーは、地域や学校によって求められる形がはっきり違います。
大きく分けると、椅子の背もたれに掛けて使う背もたれ式と、座面に敷いて座布団として使う座布団式の2つです。幼稚園・保育園では座布団式、小学校では背もたれ式が指定されることが多い傾向にありますが、これは学校ごとの判断です。中には「ふたは付けない」「ひもは禁止」といった細かい指定が入ることもあります。
プリントに「サイズ自由」と書かれていても、椅子の背もたれの幅と高さは入学前に測っておくと失敗しません
そしてもうひとつ、手元にある防災頭巾そのものを、たたんだ状態で採寸すること。これが型紙の代わりになります。学校で一括購入する場合は現物が届いてからでも間に合いますので、焦らなくて大丈夫です。カバーの役割やタイプごとの違いをもう少し詳しく知りたい方は、防災頭巾カバーの選び方をまとめた記事もあわせてどうぞ。

材料と道具:生地はキルティングが縫いやすい
生地はキルティングをおすすめします。中綿が入っているぶん厚みがあり、椅子の背もたれに掛けたときにへたりません。何より、端がほつれにくく、縫い目が多少曲がっても目立たないのが初心者にはありがたいところです。
| 生地 | 向き・不向き |
|---|---|
| キルティング | 厚みとクッション性があり形が安定する。家庭用ミシンでも縫えるが、重なる部分は厚くなる |
| オックス・シーチング | 軽くて縫いやすく安価。薄いので裏地を付けるか、座布団式向き |
| デニム・帆布 | 丈夫で長持ちする。厚手すぎると家庭用ミシンの針が折れやすい |
必要な副資材は、マジックテープ(面ファスナー)が10cm程度、平ゴムが50cm程度、あとは糸だけです。道具はミシン、ミシン糸、まち針かクリップ、定規、チャコペン、裁ちばさみ。2026年8月現在、キルティング生地は110cm幅で1m1,000円前後が目安で、副資材と合わせて1,500円ほどで1枚作れます。生地の値段は種類やセールで動きますので、手芸店の特売日を狙うと安く済みます。
必要な布のサイズの計算式
型紙は要りません。たたんだ防災頭巾の幅・高さ・厚みの3つを測れば、次の式で裁断サイズが出ます。
背もたれ式(一枚布・ふたなし)の場合は、こう計算します。
布の幅 = 頭巾の幅 + 厚み + 3cm(縫い代1.5cm×2)
布の長さ = ポケットの深さ(頭巾の高さ + 厚み + 2cm)
+ 背もたれに掛かる部分(30cm前後)
+ 口の始末 3cmたとえば、たたんだ頭巾が幅30cm・高さ25cm・厚み4cmなら、布の幅は37cm、長さは29+30+3で62cmになります。110cm幅の生地なら70cmも買えば1枚ぶんは足ります。裏地を付けるなら同じサイズをもう1枚、余裕をみて1.4mです。
座布団式は、椅子の座面の幅・奥行きを測り、それぞれに厚みと縫い代を足す考え方は同じです。座面より少し小さめに仕上げたほうが、ずれにくく座り心地も安定します。

【基本】背もたれ式カバーの作り方(ふたなし・簡単)
直線縫いだけで、慣れていない方でも2時間ほどでできます。裁断さえ正確なら、あとは折って縫うだけです。
計算式で出したサイズどおりに、チャコペンで線を引いてから裁ちます。キルティングは厚みで布がずれやすいので、定規をしっかり押さえてください。
四辺すべてにジグザグミシン(またはロックミシン)をかけます。キルティングは中綿が出てくるため、ここを飛ばすと洗濯でぼろぼろになります。
布を中表にせず、外表のまま下から「ポケットの深さ」ぶんを折り上げます。折り山が袋の底になります。まち針かクリップで固定しましょう。
折り上げた部分の左右を、端から1.5cmのところで縫います。返し縫いを忘れずに。これで頭巾を入れる袋の形になります。
背もたれに掛かる側の端を1.5cmずつ二回折り込み、ぐるりと縫います。ここが一番目に付くので、ゆっくり進めてください。
背もたれに掛けた状態で長さを合わせ、上端の裏側と本体の表側にマジックテープを縫い付けます。位置決めのときは、実際の椅子に掛けて確かめると確実です。
ポケットの入り口は、頭巾の高さより2〜3cm浅くすると、子どもが自分で出し入れしやすくなります
【アレンジ】ふた付き・裏地ありにする場合
学校で禁止されていなければ、ふたを付けると中身が飛び出しません。ふたは、本体と同じ幅で長さ20cm前後の布を用意し、上端を縫うときに一緒に挟み込みます。角を丸く切っておくと、返したときにきれいに出ますし、見た目もやわらかくなります。ふたの内側と本体の表側にマジックテープを付ければ完成です。
裏地を付ける場合は、表布と裏布を同じサイズで裁ち、中表に合わせて返し口を残して周囲を縫い、表に返してから返し口を手縫いでとじます。そのあと折り上げて袋にする手順は同じです。仕上がりは格段にきれいですが、キルティング2枚重ねは家庭用ミシンにはかなりの負担になります。厚みで進まないときは、裏地を薄手のオックスにするか、思い切って裏地なしにしてしまいましょう。

【座布団式】ゴムバンド型の作り方
幼稚園・保育園でよく使われるタイプです。座面に敷いた頭巾がずれないよう、椅子の座面に引っかけるゴムを付けます。
作り方は背もたれ式より簡単です。座面の幅+厚み+縫い代、奥行きの2倍+口の始末で布を裁ち、四辺の端を始末して、中表に二つ折りしてから両脇を縫います。このとき、両脇の縫い代に平ゴムの端を挟み込んで一緒に縫い止めるのがコツです。ゴムは椅子の座面の対角線に掛ける形になるので、実測した長さより2〜3cm短く裁つと、ほどよく張って動きません。最後に袋の口を三つ折りして縫い、マジックテープを付ければ出来上がりです。
ゴムは長さより「幅」で選ぶ
細いゴムは食い込んで座り心地が悪く、洗濯でよじれます。座布団式には15mm〜20mm幅の平ゴムが扱いやすく、へたりにくいです。
ミシンなし・手縫いでも作れる?
作れます。防災頭巾カバーは直線しか縫わないので、手縫いでも十分に実用に耐えます。縫うのは並縫いで構いませんが、2〜3針ごとに返し縫いを一回入れる「半返し縫い」にすると、ミシンに近い強度が出ます。両脇の縫い始めと縫い終わりは、必ず二重に返してください。子どもが引っ張るのはこの部分です。
手縫いなら、生地は薄手のオックスやシーチングのほうが針が通りやすく、指も痛くなりません。キルティングを手縫いするのは正直しんどいので、その場合は指ぬきを使い、何日かに分けて進めるくらいの気持ちでいてください。
布用ボンドや裾上げテープで済ませる方法もありますが、椅子に掛けて毎日引っ張られる場所ですから、両脇だけは糸で縫っておきたいところです。口の三つ折りや名前タグは接着剤でも問題ありません。
ゴムの付け替えと修理のしかた
数年使うと、ゴムは必ずゆるみます。買い替えを考える前に、ゴムだけ替えれば本体はまだ使えることがほとんどです。
縫い代に挟み込んで縫い止めたタイプは、ゴムを留めている数センチの縫い目だけをリッパーでほどき、古いゴムを引き抜いて新しいものを差し込み、同じ位置を縫い直します。全部ほどく必要はありません。次からの付け替えを楽にしたいなら、この機会にゴム通し口を作っておく手もあります。
マジックテープの粘着力が落ちたときは、まずブラシや粘着テープで、フック側に絡んだ糸くずと毛を取ってください。それでも留まらないなら、テープ部分だけをほどいて新しいものを縫い付けます。手芸店で数百円です。
本体の生地が薄くなってきたり、縫い目が広範囲に裂けているようなら、そのときは作り替えどきです。
よくある質問
型紙は必要?
不要です。防災頭巾カバーは長方形の組み合わせだけで作れるので、市販の型紙を買う必要はありません。上で紹介した計算式で数字を出し、生地に直接チャコペンで線を引けば十分です。どうしても不安な場合は、新聞紙で同じ寸法の四角を切り、椅子に当てて大きさを確かめてから裁つと安心して進められます。
ただし、ふたの角を丸くする場合だけは、お皿やコップを当ててカーブを写し取ると左右が揃います。これも型紙というより「まるいものを当てる」程度のことです。
名前つけはどこにする?
学校で指定がなければ、背もたれ式は本体の表側の下部、座布団式は口の近くが定番です。椅子に掛けたときに先生から見える位置で、かつ子どもが座ったときに擦れにくい場所を選びます。
方法は、名前テープを縫い付ける、アイロン接着のゼッケンを貼る、布用ペンで直接書く、のいずれか。洗濯を繰り返すとアイロン接着ははがれてくるので、四辺をぐるりと縫っておくと長持ちします。防災頭巾カバーは6年間使うこともあるものですから、名前は大きめにはっきりと。学年が上がって恥ずかしがるようなら、内側に付け替えれば済むことです。
完璧な仕上がりを目指さなくても、頭巾がすっぽり入って、椅子から落ちなければ役目は果たします。縫い目が少し曲がっていても、子どもは案外気にしません。作ったカバーは、年に一度は中身を出して頭巾のサイズが合っているか確かめてみてください。学校指定の細かい規定や現在の価格は変わることがありますので、購入前にはプリントとお店の情報をご確認ください。
