無印良品の防災グッズ|「いつものもしも」セットの中身と評価

無印良品風のシンプルな防災ポーチと中身の一式

防災グッズを揃えようと思ったとき、いちばん手が伸びやすいのが無印良品の「いつものもしも」シリーズではないでしょうか。売り場で見かけて気になっているけれど、中身のわりに高いのか安いのか判断がつかない、という声をよく聞きます。この記事では、3種類のセットの中身と値段、正直に言ってどんな人に向くのか、セットではなく単品で買ったほうがいい無印アイテムはどれか、そして足りない分をどう補うかまでを順番に整理します。

目次

無印良品の防災の考え方:「いつものもしも」とは

「いつものもしも」は、無印良品が展開している防災の考え方であり、商品シリーズの名前でもあります。防災用品を押し入れの奥にしまい込むのではなく、いつも使っているものが、もしもの時にも役に立つ状態を目指す——というのが核にある発想です。

この考え方は、実は防災の世界でいうローリングストックやフェーズフリーとほとんど同じことを言っています。特別な非常食を買って5年後に賞味期限切れで捨てる、という失敗を防ぐには、普段の暮らしの延長に備えを置くのがいちばん続きます。長く家計を見てきた経験から言えば、備えが続かない家庭のほとんどは、意志が弱いのではなく「日常と切り離しすぎた」ことが原因です。

無印のセットに入っているサコッシュやハンカチが、いかにも防災用品らしくない見た目をしているのも、この方針の表れです。旅行のときにも普段のお出かけにも使えるから、たまに出して触ることになる。触るから、中身を覚えていられる。備えが「置きっぱなしにならない」こと自体に価値があるというのが、このシリーズの一番の設計思想だと考えています。

大きさの違う3種類の防災セットのパッケージ

防災セットの中身と値段:3種類の違い

「いつものもしも」の防災セットは、大きさ違いで3種類あります。2026年8月時点で確認できる価格は、携帯セットが税込690円、持ち出しセットが税込2,490円、備えるセットが税込3,490円です。このシリーズは2024年春に内容と価格の見直しが入り、それ以前より安くなった経緯があります。今後も改定される可能性があるため、金額は目安として見てください。

セット名価格(税込)想定する場面置き場所
携帯セット690円外出先で被災通勤バッグの中
持ち出しセット2,490円自宅から避難する玄関・寝室
備えるセット3,490円自宅で数日過ごす収納・車の中

持ち出し・備え・携帯の各セット

中心になるのは持ち出しセットです。ポーチとしても使えるサコッシュに、コンパクトヘッドライト、エマージェンシーシート、大判ボディシート、耳栓、EVAケース、除菌シート、いつものもしもハンカチ、不織布マスク、携帯用救急絆、そして家族で決めておく連絡のルールを書き込むカードが入り、全部で11点。パッケージ自体に持ち手が付いていて、買ったまま玄関に置いておける形になっています。

備えるセットは、持ち出しセットの内容に軍手・非常用トイレ・キャンドル・タオルなどを足したものです。避難所へ走るというより、自宅にとどまって数日をしのぐ在宅避難を想定した構成になっています。差額1,000円で携帯トイレと軍手が付いてくると考えれば、価格としては妥当な範囲です。

携帯セットは、不織布マスク・救急絆・除菌シート・ハンカチなどをファスナー付きEVAケースにまとめた、いわゆる防災ポーチです。690円という値段は、正直なところ迷う金額ではありません。外出中に電車が止まる程度の事態なら、この690円のポーチが一番出番が多いというのが実感です。まず1つ買うならこれ、と言い切れます。

セットは買い?正直な評価と向く人

結論から言うと、持ち出しセットと備えるセットは「これ一つで完成する防災セット」ではありません。水も食料も入っておらず、モバイルバッテリーもラジオもありません。市販の防災リュック(1万円前後で数十点入るタイプ)と同じつもりで買うと、開けた瞬間に物足りなさを感じるはずです。

では価値がないかというと、そうではありません。このセットの本当の役目は、「何を入れる袋なのか」の骨組みを2,490円で買うことにあります。中身が11点しかないからこそ、自分で足すべきものがはっきり見えます。あれこれ詰まった防災リュックを買うと、何が入っているか把握しないまま押し入れに直行しがちですが、無印のセットは中身を全部言えるくらいの分量です。

無印良品 いつものもしも持ち出しセット
総合評価
( 3.5 )
メリット
  • 中身が11点と少なく、何を足すべきかが自分で分かる
  • サコッシュやハンカチが普段使いでき、点検のきっかけになる
  • 玄関に置いても浮かないデザインで、しまい込まれにくい
デメリット
  • 水・食料・モバイルバッテリー・ラジオが入っていない
  • 同価格帯の防災リュックと比べると点数は明らかに少ない
  • 家族の人数分そろえると割高になる

向いているのは、防災グッズをこれから揃える人、そして一度リュックを買ったものの中身を把握できていない人です。逆に、すでにモバイルバッテリーもランタンも持っていて足りないものだけ買いたい人は、セットではなく後述の単品で買うほうが無駄がありません。

セットは「完成品」ではなく「土台」。足す前提で買うなら十分に元が取れます。

単品で優秀な無印アイテム

無印の防災まわりで本当に強いのは、実はセットよりも単品のほうです。とくに食品と衛生用品は、防災コーナーではなく普通の売り場に並んでいるものが役に立ちます。

食べ物(レトルト・お菓子)

定番はレトルトカレーです。無印のレトルトカレーは常温で保存でき、賞味期限はおおむね1年程度。温めなくても食べられるので、カセットコンロが使えない状況でも成立します。ごはんのパックに直接カレーを注げば、洗い物が出ないという実用的な利点もあります。断水時に食器を洗えないというのは、実際にやってみるまで想像しにくいところです。

もう一つ挙げるなら、素のパスタや「ごはんにかける」シリーズ、そして個包装のお菓子です。とくにお菓子は、防災の文脈では軽視されがちですが、避難生活が長引いたときに気持ちを支える働きをします。バウムクーヘンや個包装のチョコレートは、日常のおやつとして回しながら常に数個ある状態を保てます。

無印には保存期間を長めにとった備蓄用の食品(ごはんや素材を活かしたスープなど)もありますが、値段は日常品より上がります。まずは普段食べるレトルトを少し多めに買うところから始めれば十分です。

日用品・衛生用品

無印の日用品で防災に効くのは、次のあたりです。どれも普段から使えるものなので、買っても余りません。

  • 携帯用歯みがきシート・マウスウォッシュ(断水中の口腔ケアは体調維持に直結します)
  • 大判のボディシート(入浴できない日が続くときに効きます)
  • LED持ち運びできるあかり(充電式で、置いても吊るしても使えます)
  • 携帯用アルミボトル・折りたためるトートバッグ(給水所での水運びに使えます)
  • ポリプロピレン頑丈収納ボックス(備蓄のまとめ置きと、椅子・作業台の代わりに)

高齢の家族がいる場合、口腔ケア用品の優先度はさらに上がります。避難生活で歯磨きができない状態が続くと、誤嚥性肺炎のリスクが高まることが知られています。水がなくても使えるシートやジェルを、本人の分として別に用意しておくと安心材料になります。

レトルトカレーとごはんパックを並べた備蓄棚

無印で回すローリングストック

無印を防災に使ういちばん賢い形は、セットを買うことではなく、日常の買い物を備蓄にしてしまうことだと考えています。ローリングストックというと難しく聞こえますが、やることは「少し多めに買って、古いものから食べて、食べたら買い足す」だけです。

STEP
1. 3日分の量を決める

大人2人なら、1日3食×3日で18食分。レトルトカレー6個、ごはんパック9個、スープ類6個くらいが目安になります。まずこの数を紙に書き出します。

STEP
2. 収納は1か所にまとめる

キッチンの一角か、頑丈収納ボックス1つ分と決めます。置き場所を分散させると、何がどれだけあるか分からなくなります。

STEP
3. 手前から食べて、奥に足す

新しく買ったものを奥に入れ、手前から使います。これだけで自然に古い順に消費されます。

STEP
4. 月に一度、数を数える

買い物メモを書くタイミングで、決めた数を下回っていないか確認します。5分もかかりません。

この方法なら、賞味期限切れで捨てる食品がほぼゼロになります。無印のレトルトは1年程度で回ってくるので、年に数回食べていれば期限を意識する必要すらありません。備蓄の管理は「数を決めて、月1回数えるだけ」に単純化するのが、続く家庭のやり方です。食品のローリングストックについては、食品のローリングストックのやり方で品目ごとの量まで詳しくまとめています。

なお、ここまでやれば家庭の備蓄としては十分な水準です。缶詰を何十個も積み上げる必要はありません。

セットに足りないものを補う

持ち出しセットを買った前提で、優先度の高い順に足すものを挙げます。全部いっぺんに揃えなくて構いません。上から順に、月をまたいででも埋めていけば形になります。

  • 水(1人1日3リットル・最低3日分)と、持ち出し用に500mlを2本
  • モバイルバッテリー(10,000mAh前後・半年ごとに充電量を確認)
  • 携帯トイレ(持ち出しセットには入っていません。1人1日5回×3日が目安)
  • 常備薬・持病の薬・お薬手帳のコピー、眼鏡の予備
  • 現金(小銭を多めに)と、身分証・保険証のコピー
  • 軍手と厚手のスリッパ(ガラス片から足を守るため)

モバイルバッテリーは入れっぱなしだと自然放電します。半年に一度は残量を確認して、必要なら充電し直してください。

ペットがいる家庭では、これに加えてフードとトイレ用品を数日分、キャリーバッグとあわせて用意しておきます。我が家にも猫がいますが、猫は環境が変わると食べなくなることがあるため、いつも食べているフードを多めに置く形にしています。人間の備蓄と同じで、特別なものを用意するより普段のものを増やすほうが確実です。

何をどこまで揃えるかの全体像は、本当に必要な防災グッズのリストにまとめています。無印のセットを土台にする場合も、こちらのリストと突き合わせると抜けが見つけやすくなります。

避難のタイミングや安全行動そのものは、この記事の範囲外です

どこへ避難するか、いつ動くかは、お住まいの自治体のハザードマップと避難情報、気象庁の発表が基準になります。防災グッズの準備と並行して、自治体の防災マップを一度は開いておいてください。

よくある質問

どの店舗でも買える?ネットストアは?

「いつものもしも」シリーズは、無印良品のネットストアと、防災コーナーを設けている店舗で取り扱いがあります。ただし小型店舗では扱っていないことがあり、9月の防災月間や大きな地震の報道があった直後は品薄になりやすい傾向があります。売り場では防災コーナーにまとまっていることが多いものの、レトルト食品やボディシートは通常の食品・日用品売り場に並んでいるため、単品で揃えるなら店内を一周する前提で行くとスムーズです。

在庫状況は日々変わるので、確実に手に入れたい場合はネットストアで店舗在庫を確認してから出向くのが早道です。

無印良品週間で安くなる?

無印良品週間は、MUJI passportを提示したメンバー向けに対象商品が10%オフになるセールで、春と秋を中心に年に複数回開催されています。防災セットも対象になることが多く、持ち出しセット2,490円なら約250円、備えるセット3,490円なら約350円の差です。

まとめ買いするなら無印良品週間を待つ価値はありますが、防災用品を「セールまで買わない」のは本末転倒です。1点なら差額は数百円ですから、必要だと思った日に買ってしまってください。

開催時期は毎回告知されるまで確定しません。防災用品の買い足しは9月の防災月間と年末の点検、というように時期を決めておくと、セールを待ち続けて結局買わないという事態を避けられます。

なお、この記事の価格やセット内容は2026年8月時点で確認できたものです。改定されることがあるため、購入前に無印良品の公式サイトで最新の内容をご確認ください。

目次