停電対策まとめ|今日からできる備えと、停電したときの動き

停電時に使うLEDランタンとポータブル電源

台風や地震のニュースを見るたび、「うちは停電したらどうなるんだろう」と気になる方は多いと思います。停電の備えは、あれもこれもと買い足す前に、明かり・電源・情報・冷蔵庫の四つに絞ると迷いません。この記事では、事前に用意しておくものと、実際に停電したときの最初の30分の動き、それから季節やマンションならではの注意点までを順にまとめます。

目次

停電対策は「事前の備え」と「起きたときの動き」に分ける

停電の記事を読んでいると、懐中電灯の話とブレーカーの話と非常食の話が一緒くたに出てきて、結局何から手をつければいいのか分からなくなりがちです。そこで我が家では、停電対策を「事前に買って置いておくこと」と「起きた瞬間に体が動くようにしておくこと」の二つに分けて整理しています。

前者はお金で解決できる部分です。ランタンや電池、モバイルバッテリーを買って、置き場所を決めればそれで終わります。後者はお金では買えません。ブレーカーの位置を知っているか、冷蔵庫を開けずに我慢できるか、家族と落ち合う方法を決めてあるか。停電の被害の大きさを分けるのは、実はこちらの方だったりします。

もうひとつ押さえておきたいのが、停電には長さの幅があることです。数分で戻る瞬間的なものから、台風で電柱が倒れて数日続くものまで、対応はまるで違います。目安として「数時間」「半日〜1日」「3日以上」の三段階を想定しておくと、備えの量が決めやすくなります。数時間なら明かりとスマホの充電でしのげますし、3日以上となると水と食料、そして在宅避難そのものの話になってきます。

停電対策は「買って置くもの」と「体が動くようにしておくこと」の二本立てで考える。

電池式ラジオと乾電池、モバイルバッテリーの備え

【事前】家庭でできる停電対策リスト

ここからは事前の備えです。優先順位の高い順に、明かり・電源・情報・冷蔵庫の四つを見ていきます。全部そろえても数千円から始められますし、いきなり大きな買い物をする必要はありません。

明かり:ランタンと電池の置き場所

停電で最初に困るのは、間違いなく明かりです。夜間の停電では、部屋の中を歩くだけで家具に足をぶつけますし、暗さそのものが不安を大きくします。まず用意したいのは、天井や壁に向けて部屋全体を照らせるLEDランタンです。懐中電灯は一方向しか照らせないので、移動用にはよくても、家の中で過ごす明かりには向きません。

数は、リビングに1つ、寝室に1つ、それにトイレや廊下用の小さいものが1つあれば十分です。むしろ大事なのは置き場所で、暗闇の中で手探りで届く場所に置いていなければ、持っていないのと同じです。我が家では寝室の枕元とリビングのテレビ台の下、それぞれ定位置を決めて、そこ以外には置かないようにしています。

電池は単三・単四をまとめ買いして、ランタンやラジオと同じ場所に保管します。電池は使わなくても少しずつ放電しますし、使用推奨期限もあります。年に一度、防災の日あたりに期限を確かめて、古いものからテレビのリモコンなどに回していく。これがローリングストックのいちばん簡単な形です。

ろうそくは停電時の明かりに使わない

揺れの続く状況や、暗がりでの移動中に倒すと火災につながります。仏壇のろうそくも同じで、停電中はLEDのものに切り替えておくと安心して過ごせます。

電源:モバイルバッテリーからポータブル電源まで

スマホの充電は、明かりの次に優先度の高い備えです。連絡手段であり、情報源であり、暗い中では明かりにもなります。まずはモバイルバッテリーを家族の人数分そろえるところからで十分です。容量10,000mAh前後のものならスマホを2回ほど満充電にでき、価格は執筆時点で3,000円前後から。半年に一度は残量を確かめて、8割程度まで充電し直しておくと、いざというときに空だった、という失敗を避けられます。

その先に来るのがポータブル電源です。数百Whから1,000Wh超まで幅があり、扇風機や電気毛布、小型の調理家電まで動かせます。ただし価格も数万円からと上がりますし、置き場所も取ります。停電が数時間で戻る想定ならモバイルバッテリーで足り、半日以上や真夏・真冬の在宅避難を考えるならポータブル電源の出番、という線引きで考えると判断しやすくなります。

選ぶときは、まずPSEマークの有無を確認してください。モバイルバッテリーもポータブル電源も、日本国内で販売するには電気用品安全法に基づく表示が必要です。加えて、定格出力(W)が動かしたい家電に足りているか、保証期間が何年か、問い合わせ窓口が国内にあるか。容量だけを大きく謳って価格が不自然に安い製品は、この三点のどこかが欠けていることがあります。

必要かどうかの判断材料は、ポータブル電源は本当に必要かで家庭の条件ごとに整理しています。買う前に一度目を通してみてください。

情報:ラジオとスマホの節電設定

停電が広い範囲に及ぶと、携帯電話の基地局も非常用電源で動く時間に限りがあり、通信がつながりにくくなることがあります。そのときに強いのが電池式のラジオです。乾電池と手回しの両方に対応したものが2,000円前後からあり、電池の残量を気にせず地域の情報を拾えます。

スマホ側では、停電に気づいた時点で省電力モードに切り替え、画面の明るさを落とします。使っていないアプリの通信を止めるだけでも持ちがかなり違います。それから、あらかじめお住まいの自治体の防災情報ページと、契約している電力会社の停電情報ページをブックマークしておくこと。停電の範囲や復旧見込みは電力会社の停電情報で確認するのが確実で、気象や避難の情報は気象庁と自治体の発表が一次情報になります。SNSで流れてくる情報は、必ずこの二つに戻って確かめてください。

冷蔵庫:保冷剤と「開けない」ルール

意外と見落とされがちなのが冷蔵庫です。停電後に扉を閉めたままにしておけば、冷蔵室で2〜3時間、冷凍室ならもう少し長く庫内の冷たさが保たれます。ただしこれは開けなかった場合の話で、扉を10秒ほど開けるだけで庫内の温度は3〜5℃上がります。この差が、食材が助かるかどうかを分けます。

事前にできることは二つ。冷凍室に保冷剤やペットボトルの水を凍らせて詰めておくことと、家族で「停電したら冷蔵庫は開けない」と決めておくことです。冷凍室の隙間が埋まっているほど冷気が保たれますし、凍らせた水は溶ければそのまま飲み水にもなります。台風のように事前に予測できる停電なら、前日に製氷と冷凍を増やしておくと余裕が生まれます。

復旧後、庫内の食品がぬるくなっていた場合や、いったん溶けて再び凍った形跡がある場合は、口にする前にしっかり確かめてください。肉や魚、乳製品、調理済みのものは特に傷みやすく、迷ったら処分する方が結果的に安く済みます。

住宅の分電盤に並ぶブレーカーのスイッチ

【起きたら】最初の30分でやること

実際に停電したときの動きです。順番に意味があるので、この流れで覚えておいてください。

STEP
明かりを確保する

定位置に置いたランタンをつけます。夜間なら、まずこれをしないと次の行動ができません。

STEP
自分の家だけかを確かめる

窓の外を見て、近所や街灯も消えているかを確認します。周りが明るいなら自宅側の原因なので、次の手順に進みます。

STEP
ブレーカーを確認する

分電盤を見て、どのブレーカーが落ちているかを確かめます。詳しい手順は後述します。

STEP
停電情報を確認する

自宅だけでないなら、電力会社の停電情報ページで範囲と復旧見込みを確認します。スマホは省電力モードに切り替えます。

STEP
冷蔵庫と家電の状態を整える

冷蔵庫は開けない。使用中だった暖房器具やアイロン、ドライヤーなどはスイッチを切り、コンセントを抜きます。

五つ目が地味に重要です。停電中にスイッチを入れたままにしていた家電は、電気が戻った瞬間に動き出します。特に電気ストーブやオイルヒーターの上に、暗い中で洗濯物や毛布を置いてしまっていたら、そのまま火災につながりかねません。停電に気づいたら、発熱する家電のプラグを抜く。これを最初の30分に必ず入れてください。

ブレーカーの確認と通電火災の防止

分電盤を見るとき、落ちているのがどのブレーカーかで原因が分かります。安全ブレーカー(回路ごとの小さいスイッチ)の一つだけが落ちているなら、その部屋の使いすぎ。アンペアブレーカーや漏電遮断器が落ちているなら、家全体の容量オーバーか漏電の可能性があります。漏電遮断器が落ちた場合は、原因の回路を切り分けないまま上げ直さないでください。

そして、地震などで停電し、家を離れて避難するときは分電盤のブレーカーを切ってから出ます。これが通電火災を防ぐいちばん確実な方法です。消費者庁などは停電中に自宅を離れる際のブレーカー遮断を繰り返し呼びかけていて、東日本大震災の本震による火災のうち、原因が特定されたものの過半数が電気に関係する出火でした。

避難で家を離れるときは、必ず分電盤のブレーカーを切ってから出ます。復旧時の通電火災を防ぐためです。

不在時やとっさに操作できない場合に備えるなら、感震ブレーカーという選択肢もあります。設定以上の揺れを感知して電気を自動で止める器具で、簡易タイプなら数千円から。自治体によっては設置費用の補助制度があるので、お住まいの市区町村の防災担当の案内を見てみてください。

ブレーカーの種類ごとの見分け方と、上げ直すときの順番は停電時のブレーカー確認手順にまとめています。分電盤の前で迷わないよう、一度読んでおくと落ち着いて動けます。

季節別の備え:夏の暑さと冬の寒さ

停電がつらいかどうかは、季節でまったく変わります。春や秋なら数時間の停電はさほど困りませんが、真夏と真冬は体調に直結します。

夏はエアコンが止まることが問題です。室温が上がり続ける中で、水分と塩分の補給、そして体を直接冷やす手段が要ります。電池式の小型扇風機、首に巻く保冷剤、経口補水液を用意しておくと、日中をしのぐ助けになります。USB扇風機はモバイルバッテリーでも動き、消費電力が小さいので停電中の相性がいい家電です。窓を開けて風を通す、日中はカーテンを閉めて日射を遮る、といった電気を使わない工夫も合わせてください。高齢のご家族がいる場合は、本人が暑さを感じにくいことがあるので、周りが室温計を見て声をかけるようにします。

冬は逆に、暖房が止まったときの底冷えです。電気を使わない暖の取り方として、貼るカイロ、アルミの保温シート、厚手の毛布、そして重ね着。カセットボンベ式のストーブは灯油より扱いやすく、ボンベを数本ストックしておけば数時間から半日はしのげます。ただし燃焼する暖房器具は必ず換気とセットです。1時間に1〜2回、数分の換気を忘れないでください。カセットボンベは高温になる場所を避けて保管し、使用推奨期限(おおむね製造から7年)を年に一度確かめておきます。

家庭で備蓄する飲料水のペットボトル

マンションの停電:水とエレベーターの注意

集合住宅にお住まいなら、戸建てとは別に押さえておきたい点が二つあります。

ひとつは水です。多くのマンションは受水槽にためた水をポンプで各階へ送る、あるいは加圧ポンプで直接送る方式をとっています。停電でポンプが止まると、水道本管が生きていても蛇口から水が出なくなります。断水と停電が同時に来る前提で、飲み水の備蓄を考えてください。目安は1人1日3リットル×3日分で、余裕があれば7日分。二人暮らしなら3日分で18リットル、2リットルのペットボトル9本です。加えて、トイレを流すための生活用水も要ります。浴槽に水を張っておく方法は手軽ですが、小さなお子さんがいるご家庭では事故の危険があるため、ポリタンクでの保管に切り替えてください。

もうひとつはエレベーターです。停電すれば止まりますし、地震では安全装置が働いて自動停止します。高層階では階段の上り下りが現実的でなくなるので、水も食料も「買いに行けない前提」で家に置いておく必要があります。エレベーター内に閉じ込められる可能性もあるため、中に非常用のボックスが設置されているかを一度確かめておくと安心です。

オートロックや機械式駐車場も停電で止まります。管理組合が非常用電源をどこまで備えているか、共用部の防災備蓄がどこにあるかは、管理規約や総会資料に書かれていることが多いので、一度目を通しておいてください。

長時間停電に発展したら

半日を超え、復旧の見込みが立たない状況になったら、考え方を「停電をしのぐ」から「在宅避難をする」に切り替えます。

このとき効いてくるのが備蓄です。冷蔵庫の中身は早く傷むものから食べ、冷凍室のものは自然解凍で食べられるものを優先する。そのあとに常温保存の食品へ移ります。カセットコンロがあれば温かいものが作れて、体力の消耗がずいぶん違います。ボンベは1本で60〜90分程度が目安なので、3日分なら6本前後を見ておくと足ります。

情報面では、電力会社の停電情報で復旧見込みを追いながら、自治体が開設する充電スポットや給水拠点の案内を確認します。トイレは、断水していなくても下水側に問題があると流せない場合があるため、携帯トイレを用意しておくと困りません。1人1日5回として、3日分で家族分。これは体積も小さく、備えの中でも費用対効果の高い部類です。

何日も自宅で過ごす場合の全体像は、在宅避難のすすめ方で水・食料・トイレ・衛生の順に整理しています。停電単体の備えから一歩進めたいときに読んでみてください。

ここまで読んで、全部そろえなければと思われたかもしれません。けれど、明かりと電池、モバイルバッテリー、水を数本。これだけあれば、数時間の停電はもう十分に乗り切れます。あとは季節の変わり目に少しずつ足していけば足ります。

よくある質問

ルーターやWi-Fiは停電でどうなる?

光回線のルーターもモデムもコンセントから電源を取っているので、停電すると自宅のWi-Fiは使えなくなります。スマホは携帯回線に切り替わりますが、基地局側も停電すれば非常用電源の持つ時間内しか動きません。停電中の通信は、スマホの携帯回線を節約しながら使う前提で考えてください。

復旧後は、ルーターやモデムのランプが正常に戻るまで数分待ちます。それでもつながらないときは、モデム側の電源を抜いて1分ほど置き、モデム、ルーター、端末の順に入れ直すとたいてい復帰します。在宅勤務などでどうしても回線を止めたくない場合は、ルーター用の小型UPS(無停電電源装置)を入れておくと、短時間の停電なら通信を維持できます。

ペットの留守番中の停電はどう備える?

我が家にも猫がいるので、これは他人事ではありません。留守番中の停電でいちばん怖いのは、夏場にエアコンが止まって室温が上がることです。ケージやベッドを窓際の直射日光が当たる場所に置かない、部屋の扉を開けて涼しい場所へ移動できるようにしておく、水は複数の場所に多めに置いておく。この三つで、体温が上がりきる前の逃げ場を用意できます。

冬は毛布やペット用の寝床を、床から離れた場所に用意しておきます。電気を使う保温マットに頼りきりだと、止まったときに代わりがありません。それから、自動給餌器や自動給水器を使っているご家庭は、停電で止まることを前提に、手動でも食べられる分を置いておいてください。

避難が必要になったときのために、キャリーケースは玄関近くの取り出しやすい場所に。ペットフードと水、常用薬、それにワクチン証明書のコピーをひとまとめにしておくと、慌てずに動けます。


停電情報の範囲や復旧見込み、避難に関する発表は状況によって変わります。実際に停電が起きたときは、契約している電力会社の停電情報ページと、気象庁・お住まいの自治体の発表を確認してください。

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