防災ラジオの選び方とおすすめの傾向|スマホがあれば不要?を考える

アンテナとライトが付いた手回し式の防災ラジオ

防災グッズを見直すとき、「ラジオって今どき本当にいるの?」で手が止まる方は多いと思います。スマホでニュースもradikoも見られる時代に、わざわざ別の機械を買う意味があるのか、という疑問です。この記事では、防災ラジオが普通のラジオとどう違うのか、スマホがあるうえで持つ意味はどこにあるのか、そして買うなら何を見て選べばいいのかを順番に整理します。あわせて、ときどき目にする「防災ラジオは廃止される」という話の中身もほどいておきます。

目次

防災ラジオと普通のラジオの違い

「防災ラジオ」という言葉は、実は二つの別のものを指して使われています。ここが混ざったまま検索すると、話が噛み合わなくなります。

ひとつは、家電量販店やネット通販で買える多機能ラジオです。手回し発電やソーラー充電、LEDライト、スマホへの給電、サイレンなどが一台にまとまったもので、いわゆる「防災ラジオ おすすめ」で出てくるのはほぼこちら。放送そのものは、普通のラジオと同じ地元局の電波を受信します。

もうひとつは、自治体が配ったり有償で頒布したりしている防災行政無線の戸別受信機(防災ラジオ)です。屋外スピーカーから流れる避難情報などを、家の中で受け取るための専用機。普段はラジオとして使えて、緊急放送が入ると自動で音量が上がって切り替わる、というタイプが多くあります。東京都港区のように1世帯1台で配付している自治体もあれば、藤沢市のように有償で頒布している自治体もあり、扱いは地域ごとにまったく違います。

この記事で主に扱うのは前者、自分で買うほうの多機能ラジオです。ただ、お住まいの自治体に戸別受信機の制度があるかは、買う前に一度確認する価値があります。制度があるなら、そちらのほうが避難情報の受け取り手段としては直接的だからです。

スマホがあれば不要?ラジオが活きる場面

正直に書くと、情報の量と速さではスマホに勝てません。radikoでもNHKのらじる★らじるでも放送は聴けますし、自治体の防災アプリのほうが地域の情報は細かい。ふだんの雨や台風なら、スマホだけで足ります。

ラジオの出番は、そのスマホが弱る場面です。大きな地震のあとは基地局が停電や損壊で止まり、生きている基地局に人が集中して回線が混みます。動画やアプリが読み込めなくなる一方、放送波は受信機さえあれば何台で聴いても混雑しません。それに、スマホでラジオを聴くと電池を食います。画面を消していても通信は続き、家族との連絡や安否確認に使いたい残量を削っていく。乾電池で動く受信機が別にあれば、スマホの電池を連絡用に温存できます。

つまりラジオは、スマホの代わりではなくスマホを守る道具です。この位置づけで考えると、「どちらか」ではなく「両方あると片方が長持ちする」という納得のしかたになります。

ラジオを持つ理由は情報量ではなく、通信が混んだときの代替と、スマホの電池を減らさないことにあります。

「防災ラジオは廃止される?」のうわさを整理

「ラジオはもう終わるらしい」という話、二つの別々のニュースが混ざって広がっています。順に分けます。

ひとつ目はAM放送のFM転換です。全国の民放AMラジオ局のうち44局が、2028年秋までにAM放送を停波してFMへ一本化する方針を示しています(北海道放送・STVラジオ・秋田放送は転換を見送る予定)。老朽化した送信設備の更新に多額の費用がかかることが背景にあります。ただしこれは放送がなくなる話ではなく、電波の出し方が変わる話です。同じ番組はFM側で聴けます。NHKも2026年春にラジオ第1・第2・FMの3波を2波へ再編しており、AM側の縮小という流れ自体は民放と共通しています。

二つ目は自治体の戸別受信機の更新です。防災行政無線がアナログからデジタルに切り替わると、古い電波を受ける機種は受信できなくなります。長野県茅野市のように、デジタル化に伴って旧来の防災ラジオでの受信を終了した例があります。これも「防災ラジオという制度の廃止」ではなく、機器の世代交代です。

買う側にとっての結論

AM専用の古いラジオを備蓄に入れているなら、ワイドFM対応機への入れ替えを検討してください。

自治体から配付された戸別受信機がある家庭は、更新の案内が来ていないか確認を。

FMの周波数目盛りが並ぶラジオのチューニングダイヤル

選び方の5ポイント

ここからは、実際に商品ページを見比べるときのチェック項目です。上から順に優先度が高い並びにしています。

電源方式:手回し・ソーラー・電池・USB

いちばん大事な項目です。多機能ラジオの多くは複数の電源方式に対応していますが、主力として当てにすべきなのは乾電池だと考えています。手回しは疲れますし、ソーラーは天気と置き場所に左右され、内蔵リチウムイオン電池は数年で劣化します。乾電池なら備蓄を回しながら何年でも持たせられます。

手回しとソーラーは「電池が切れたときの保険」として見るのが妥当な位置づけです。保険としては十分価値があるので、乾電池で動き、かつ手回しも付いているという組み合わせを基本線にすると迷いません。

電源方式強み弱点
乾電池長時間安定。備蓄を日常で回せる電池の在庫管理が必要
手回し電池がなくても最後の手段になる疲れる。長時間の視聴には向かない
ソーラー放置で少しずつ回復する天候・設置場所依存。発電量は小さい
USB充電平時の充電が楽内蔵電池は経年で劣化する

ワイドFM対応は必須

ワイドFM(FM補完放送)は、AM局の番組を90〜95MHz帯のFMで流す仕組みです。鉄筋の建物の中やノイズの多い場所でAMが入りにくい問題への対策として始まりました。

そして先ほどのFM転換の流れがあるので、この対応は将来の必須条件になります。仕様欄のFM受信範囲が「76〜95MHz」と書かれていればワイドFM対応、「76〜90MHz」で止まっていれば非対応です。中古品や、家に何年も眠っていたラジオを持ち出し袋に入れている場合は、ここだけでも確かめてください。

FM受信範囲が95MHzまで届いているかを、仕様欄で確認する。

ライト・スマホ充電などの多機能

多機能はうれしい反面、期待値の調整が要ります。とくにスマホ充電機能への過信は禁物です。手回しでスマホを実用的な残量まで充電するのは、体力的にかなり厳しい。数分回して数%、という世界です。緊急の一報を送るための最後の手段、と考えてください。スマホの電源を本気で確保したいなら、モバイルバッテリーやポータブル電源が別に必要になります。

一方でライトは実用的です。停電時に手元を照らせるものが一つ増えるのは素直にありがたい。サイレンやブザーは、閉じ込められたときに自分の位置を知らせる用途で、声を出し続けるより体力を使いません。

残る2ポイントも簡単に。四つ目はサイズと重さで、持ち出し袋に入れるなら300g前後の小型機、家に置くなら大きめでも構いません。五つ目は電池の種類の統一です。ラジオもライトも単3で揃えておくと、備蓄も融通も一気に楽になります。

タイプ別おすすめの傾向:日本メーカー・手回し・小型

個別の製品名を並べるより、どのタイプが自分に合うかを先に決めるほうが早いと思います。

信頼性を優先するなら、国内大手メーカーの手回し充電ラジオ。定番のソニー ICF-B09を例にとると、1秒に約2回転の速さで1分間回した場合、FMで約50分・AMで約75分・ライトで約15分使えると公表されています。手回し1分でこれだけ聴ける、という具体的な数字が仕様として出ていること自体が、選ぶ側には大きな安心材料です。実売は1万円前後ですが、価格は変動します。

価格を抑えたいなら、国内メーカーの普及価格帯や、実績のある通販ブランドの多機能モデル。アイリスオーヤマの手回し充電ラジオのように、300g前後で多機能をまとめた製品があります。数千円台から選べます。

持ち出し袋に入れるなら、乾電池式の小型ポケットラジオという選択肢も外せません。手回しもライトも付いていない代わりに軽くて薄く、100gを切るものもある。ライトは別に用意してある家庭なら、これで十分成立します。

通販で見慣れないブランドを選ぶときは、判断材料をいくつか置いておきます。AC充電器やモバイルバッテリー機能を持つ製品にはPSEマークが要ります。表示のないものは避けてください。それから、内蔵バッテリーの容量表記と本体サイズ・重量が釣り合っているか。極端に小さく軽いのに大容量を謳う製品は、表記を疑う理由になります。あとは保証期間と、日本語の問い合わせ窓口があるかどうか。

手回しラジオのハンドルは構造上こわれやすい部分です。力任せに速く回さず、一定のリズムで回してください。

単三電池と並べて点検中の小型ラジオ

普段使いで慣れておく

防災ラジオでいちばん多い失敗は、買ったまま箱に入れて何年も置いておくことです。いざというときに電池の液漏れで動かない、周波数の合わせ方が分からない、内蔵電池が完全に上がっている——このあたりは本当によく起きます。

対策は簡単で、たまに聴くこと。我が家では、キッチンで料理をする時間にラジオをつけるようにしてから、地元局の周波数を自然に覚えました。夫は野球中継で使っています。使っていれば、電池の残りも本体の不調も勝手に気づきます。

あわせて、年に2回、乾電池の入れ替えと動作確認をする日を決めておくと管理が続きます。防災の日のある9月と、年末の大掃除のタイミングが覚えやすい。長期保管するときは電池を抜いて本体と一緒に袋に入れておくと、液漏れで内部を傷めずに済みます。

ここまでやれば、ラジオまわりの備えとしては十分です。予備機を何台も揃える必要はありません。

情報の備え全体の中での位置づけ

ラジオはあくまで、情報を受け取る経路のひとつです。全体で見ると、備えは三段構えになります。

まずスマホ。気象庁の防災情報や自治体の公式サイト、緊急速報メールが最も速く、情報も細かい。ここが主役であることは変わりません。次に電源。スマホが使える時間を延ばすモバイルバッテリーやポータブル電源が、実質的に情報の備えそのものになります。そしてラジオが、通信が届かないときと、電池を節約したいときを埋める。

この順番で考えると、ラジオだけを一生懸命揃えても情報の備えは完成しないことが分かります。優先順位としては、モバイルバッテリーの確保のほうが先です。

情報の備え全体の組み立て方ははじめての防災:情報の備えで、災害時にどこを見て情報を確かめるかは災害情報の確認先と向き合い方でそれぞれ詳しく書いています。ラジオを買う前後に、あわせて目を通してみてください。

よくある質問

最後に、防災ラジオを検討する方からよく出る疑問をまとめます。

手回し充電はどれくらい回せば聴ける?

機種によりますが、ソニーICF-B09の場合、1秒に約2回転の速さで1分間回すとFMで約50分・AMで約75分聴けると公表されています。1分回して1時間前後、が一つの目安です。ただしスマホの充電となると話は別で、数分回しても残量は数%しか増えません。手回しはラジオを聴くための機能、と割り切ってください。

スマホでラジオは聴ける?

聴けます。民放はradiko、NHKはらじる★らじるで、アプリを入れておけば全国の局が聴けます。ただしどちらもインターネット経由なので、通信が止まれば聴けません。停電・通信障害に強いのは放送波を直接受ける受信機のほうです。アプリは今のうちに入れて動作を確かめておき、受信機は受信機で別に持つ、という二段構えが現実の備えになります。

ラジオはどこに置いておけばいい?

持ち出し袋に入れる1台と、リビングや寝室に置いて普段から使う1台を分けられれば理想的ですが、まずは1台からで構いません。1台だけなら、日常的に手が届いて自然に使う場所に置くのがおすすめです。しまい込んだ道具は、いざというときに出てきません。

自治体の戸別受信機の制度や配付条件、各製品の価格や在庫は変わることがあります。導入を決める前に、お住まいの自治体の防災担当課とメーカーの公式情報をご確認ください。

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